01主なポイント
- セルビアは2023年に309億3,000万ドル相当の物品を輸出しました。これは2022年の290億6,000万ドルから6.5%増加したもので、このデータセットで検証済みの貿易データが入手できる最新年の数値です。
- 電気機械・電気機器が輸出品目の中で首位となり、全体の16.5%(51億1,000万ドル)を占めました。単独の品目としては圧倒的に大きな割合です。
- ドイツは輸出全体の15.1%(46億6,000万ドル)を占め、最大の輸出先となりました。
- ボスニア・ヘルツェゴビナは貿易相手国の中で2位となり、6.9%(21億3,000万ドル)を占めました。
02過去5年間の推移
| 年 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金額 | $19.6B | $19.5B | $25.6B | $29.1B | $30.9B |
03主要輸出市場 (2023)
| 順位 | 貿易相手国 | 金額 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | ドイツ | $4.7B | 15.1% |
| 2 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | $2.1B | 6.9% |
| 3 | イタリア | $1.9B | 6.2% |
| 4 | ハンガリー | $1.7B | 5.5% |
| 5 | ルーマニア | $1.6B | 5.0% |
| 6 | モンテネグロ | $1.3B | 4.3% |
| 7 | 中国 | $1.2B | 4.0% |
| 8 | ロシア | $1.2B | 3.9% |
| 9 | チェコ | $1.2B | 3.8% |
| 10 | クロアチア | $1.1B | 3.6% |
04主要輸出品目 (2023)
| 順位 | 品目 | 金額 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 電気機械器具およびその部品;サウンドレコーダーおよび再生装置、テレビ画像および音声レコーダーおよび再生装置、およびそのような物品の部品および付属品 | $5.1B | 16.5% |
| 2 | 原子炉、ボイラー、機械および機械器具;その一部 | $2.6B | 8.6% |
| 3 | 鉱物燃料、鉱物油およびそれらの蒸留製品;瀝青物質;ミネラルワックス | $1.9B | 6.1% |
| 4 | 鉱石、スラグ、灰 | $1.6B | 5.0% |
| 5 | プラスチックおよびその製品 | $1.3B | 4.2% |
| 6 | ゴムおよびその製品 | $1.3B | 4.2% |
| 7 | 鉄道・路面電車以外の車両及びその部品・付属品 | $1.2B | 3.9% |
| 8 | 家具;寝具、マットレス、マットレスサポート、クッションおよび同様のぬいぐるみ家具。ランプおよび照明器具。他に指定されていない、または含まれていないもの。電飾看板、電飾銘板等。プレハブ建築物 | $1.0B | 3.3% |
| 9 | 銅及びその製品 | $837.5M | 2.7% |
| 10 | 鉄または鋼の製品 | $817.9M | 2.6% |
05貿易相手国マップ
06分析
輸出額は3年連続で増加
セルビアは2023年に309億3,000万ドル相当の物品を輸出し、2022年の290億6,000万ドルから6.5%増加しました。このデータセットで検証済みの貿易データが入手できる最新年は2023年です。対象期間は2019年から2023年までの5年間です。
この期間の最初の2年間、輸出額はおおむね横ばいで、2019年は196億3,000万ドル、2020年は195億ドルでした。その後、3年連続で増加し、2021年には255億7,000万ドル、2022年には290億6,000万ドル、2023年には309億3,000万ドルに達しました。これは対象となる5年間で最も高い水準です。
このデータセットには、こうした持続的な増加をもたらした要因についての情報は含まれていません。2023年の輸出額は、2019年と2020年のほぼ横ばいの水準を大きく上回っており、この5年間で輸出主導型の経済が大幅に成長したことを示しています。本シリーズで取り上げる一部の小規模経済では、輸出額が年ごとに大きく変動することがありますが、セルビアの輸出は、より安定的かつ持続的な成長を示しています。
多様な輸出品目の中で電気機械が首位
2023年は、電気機械・電気機器がすべての輸出品目の中で首位となりました。輸出額は51億1,000万ドルで、全体の16.5%を占め、単独の品目としては圧倒的に大きな割合となりました。Bosch、Continental、ZF、Broseなどのドイツの大手自動車部品サプライヤーは、セルビア国内に製造工場を展開しています。こうした企業の進出は、電気機械が輸出品目の首位を占めることや、後述するドイツがセルビア最大の輸出相手国であることと整合しています。次いで、機械類、ボイラーおよび機械器具が8.6%(26億5,000万ドル)、鉱物性燃料が6.1%(18億8,000万ドル)を占めました。
鉱石、スラグおよび灰は5.0%(15億5,000万ドル)、プラスチックおよびその製品は4.2%(13億1,000万ドル)でした。ゴムおよびその製品も4.2%(12億9,000万ドル)を占め、車両は3.9%(12億ドル)でした。家具は3.3%(10億1,000万ドル)、銅は2.7%(8億4,000万ドル)となりました。鉄鋼製品は2.6%(8億2,000万ドル)で、上位10品目の最後に入りました。
電気機械、機械類、車両が上位を占め、自動車部品に使用されるゴムやプラスチックも重要な位置を占めていることから、セルビアの輸出経済は、原材料だけに依存するのではなく、欧州の製造業サプライチェーンに深く結び付いていることが分かります。この一覧で原材料に最も近い品目は鉱石、スラグおよび灰、そして銅ですが、これらでさえ上位の工業製品を大きく下回っています。この構成は、本シリーズで扱う他の多くの国とは異なります。それらの国では、単一の鉱物資源や農産物が輸出総額の大部分を占めることが少なくありません。
セルビアの輸出先として最大なのはドイツ
2023年、ドイツはセルビア最大の輸出先となり、輸出総額の15.1%に当たる46億6,000万ドル相当の物品を輸入しました。ボスニア・ヘルツェゴビナは6.9%(21億3,000万ドル)で2位となり、イタリアが6.2%(19億1,000万ドル)で続きました。上位3か国を合わせると、輸出総額の28.1%を占めました。
ハンガリーは5.5%(16億9,000万ドル)、ルーマニアは5.0%(15億6,000万ドル)を占めました。モンテネグロは4.3%(13億2,000万ドル)、中国は4.0%(12億4,000万ドル)でした。ロシアは3.9%(11億9,000万ドル)、チェコは3.8%(11億7,000万ドル)を占めました。クロアチアは3.6%(11億2,000万ドル)で上位10か国の最後に入りました。
ドイツが首位を占め、さらにハンガリー、ルーマニア、チェコが続く構成は、独自の大規模な自動車製造基盤を持つ中欧諸国に貿易相手国が集中していることを示しています。また、地域の隣国であるボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、クロアチアも上位に入り、旧ユーゴスラビア諸地域との貿易関係が現在も続いていることがうかがえます。中国とロシアも上位10か国に含まれ、それぞれの輸出先としての割合は、複数の欧州連合加盟国にそれほど劣らない水準です。これらの国々の存在は、セルビアの貿易関係が近隣地域や最大の欧州の貿易相手国にとどまらず、さらに広い範囲に及んでいることを示しています。その結果、輸出先は欧州やバルカン地域だけに限られず、世界各地に広がっています。
総合すると、このデータセットで確認できる最新年の数値は、セルビアの輸出経済が2021年以降、着実に成長してきたことを示しています。その成長を支えているのは、電気機械と自動車関連の製造業であり、製品の主な輸出先はドイツをはじめとする中欧市場です。同時に、バルカン地域の近隣諸国との間でも重要な貿易が行われています。品目別と相手国別の内訳を合わせて見ると、セルビアは中規模の経済でありながら、西欧の産業、とりわけドイツの自動車産業と緊密に結び付いた製造業基盤を築いていることが分かります。一方で、バルカン地域の近隣諸国との商業関係を維持し、さらに遠方の国々とも一定の貿易関係を築いています。本シリーズで取り上げる国の中で、単一の主要な産業パートナーとのこれほど緊密な統合と、地理的に幅広く多様な二次的パートナーの構成を両立している国は多くありません。このような構造は、単一の市場や製品に依存し続ける経済ではなく、成熟しつつある輸出経済の姿を示しています。